茨木のり子「さくら」

[ 0 ] 2021年4月9日

茨木のり子さんの詩です。「あでやかとも妖しとも不気味とも」、さくらは実に奥深き花です。。。

南から北へ巡業を続ける「さくら一座」、東北にやってきました!

f:id:kawasimanobuo:20130404165739j:image:medium:right

茨木のり子『おんなのことば』より

さくら

今年も生きて

さくらを見ています

ひとは生涯に

何回ぐらいさくらをみるのかしら

ものごころつくのが十歳ぐらいなら

どんなに多くても七十回ぐらい

三十回 四十回のひともざら

なんという少なさだろう

もっともっと多く見るような気がするのは

祖先の視覚も

まぎれこみ重なり合い霞(かすみ)だつせいでしょう

あでやかとも妖しとも不気味とも

捉えかねる花のいろ

さくらふぶきの下を ふららと歩けば

一瞬

名僧のごとくにわかるのです

死こそ常態

生はいとしき蜃気楼と

遠い未来の日本でも、さくら一座の巡業が続いていればいいな~思います。

by ノボ村長

 

Category: キラっと輝くものやこと, 美しいこと

コメントはこちらへ