茨木のり子さんといじめっ子

[ 0 ] 2023年5月23日

古希を迎え、急激に記憶力が弱ってきたのを実感する今日この頃です。

ところが、昔の思い出はしっかり焼き付いているのか、けっこう覚えているものです。

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茨木のり子さんの詩集を読んでいて、小学校に入学した60数年前のことを思い出しました。

入学初日、私は隣の席の生徒に、買ったばかりのランドセルをナイフで何カ所も切られてしまったのでした。

その子は貧乏でワルでした。きっと、ランドセルを買ってもらえなかったので悔しかったのでしょう。

中学を卒業してすぐに就職したんですが、勤め先で傷害事件をおこし、少年院か刑務所かどちらかに入れられました。

ところが、42歳の小学校の同級生が集まった年祝いでは、女の同級生たちに大もてだったんです。

もうひとり、かなりスローなゆきおちゃんとともに。→ゆきおちゃん

片やワル、片やいじめられっ子と、性質は正反対だったんですが、どちらも共通に母性本能を刺激する要素があったのでしょうね。

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昔も今もある「いじめ」。

でも、私たちの幼少の頃は「いじめる」ではなく「ひづる」といって、ちゃかす、いじるというような感じでした。

今では陰湿な「いじめ」が多くなってきたようで、大きな問題になっています。

でも新入生諸君、負けるな!

いじめている子は、きっと君がまぶしくて好きなんだよ。

茨木のり子さんが、そんな「いじめっ子」のことを詩に書いています。

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茨木のり子「自分の感受性くらい」より

 癖

むかし女のいじめっ子がいた

意地悪したり からかったり

髪ひっぱるやら つねるやら

いいイッ! と白い歯を剥いた

 

その子の前では立往生

さすがの私も閉口頓首

やな子ねぇ と思っていたのだが

卒業のとき小さな紙片を渡された

 

ワタシハアナタガ好キダッタ

オ友達ニナリタカッタノ

たどたどしい字で書かれていて

そこで私は腰をぬかし いえ ぬかさんばかりになって

 

好きなら好きとまっすぐに

ぶつけてくれればいいじゃない

遅かった 菊ちゃん! もう手も足も出ない

小学校出てすぐあなたは置屋の下地っ子

 

以来 いい気味 いたぶり いやがらせ

さまざまな目にあうたびに 心せよ

このひとほんとは私のこと好きなんじゃないか

と思うようになったのだ

 

Category: キラっと輝くものやこと, ほっこりすること

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