川を下る船たち

[ 0 ] 2016年1月6日

『川原の石ころ図鑑』なる本を買いました。

日本全国の代表的な川にある様々な石を紹介しています。

川によってこんなに石の種類が違うんだ、とあらためて身近な自然の多様性に驚いてしまいます。

f:id:kawasimanobuo:20131207162236j:image:w280

『詩集ノボノボ』より

川を下る船たち

『川原の石ころ図鑑』を開いた

見たことある石がいっぱい

堆積岩、火成岩、変成岩・・・

学校時代の理科や地学の教科書を思い出す

天気がいい日 石ころ観察したいなと思う

・・・・・・・・

やがて 石ではなくて

川についてのあれこれが

脳裏のスクリーンに現れてきた

私のふるさとの川は 江合川(えあいがわ)

小さい頃は泳いだり魚釣りしたり

遊びのネタがないときは石ケリも

・・・・・・・・

時代は変わり  川岸には河川公園

土手道は舗装された自転車道

ところが

まわりはいくら変わっても

川は流れ続けている

昔のままに ゆっくりと

・・・・・・・・

私の生まれ育ったところは

「御蔵場(おくらば)」という地名

昔はここで米を船に積み

石巻まで下ったらしい

上りはどうしたのかといえば

船に長い縄をかけ

土手道から人や馬でひっぱたらしい

・・・・・・・・

川と船 想像はふくらんでいく

昔のいかだや丸木船

黄河を下るジャンク船

ミシシッピー川を下る蒸気船

さまざまな船が川を下っていった

人の歴史や文明とともに

人のあこがれや欲望とともに

・・・・・・・・

同じ川をいろんな船が下っていたら

どんなだろう

少し似てるんじゃないか?

社会や人生のありさまと

・・・・・・・・

ここは空想の大きな川

私が乗っているのは 小さなポンポン蒸気船

まわりにはカヤックや手こぎのボート

ヨットもあるな~

それぞれいろんな工夫や飾りで楽しそう

川岸にも停泊する船や休憩する人たち

・・・・・・・・

さまざまな船が行き来するこの川は

まさにこの世そのものだ

川に浮かぶ いろんな船は

一人一人の生き方だ

ゆっくりと自然に親しみながら進む船

手作りの操縦を楽しみながら進む船

多くの荷物を積み一刻も早くと進む船

・・・・・・・・

ふと思いだした

何十年も前 友人と松島湾で

手こぎのボートをこいでいた

そのとき遊覧船がやってきて

大きな波がボートを揺らし

とても怖い思いをした

・・・・・・・・

この空想の川にも

突然大きな波が立ち始めた

小さな船が大きく揺れて

いっせいに緊張感が走る

鋼鉄の大きな蒸気船が

すさまじい速度で川を進んできたのだ

何隻も何隻も わがもの顔をして

黒煙を上げ汽笛を鳴らしながら

・・・・・・・・

時代は進む

船はますます巨大化していった

川はもう大きな船だけになってしまった

小さい船はあおられて転覆してしまうのだ

だから今では

みんな大きい船に乗っている

・・・・・・・・

船員も乗客も

景色がどうであろうと

川や川岸の生態がどうであろうと

一向に気になどしない

気にするのは

いつ河口に着くかと船の料金だけ

自慢するのは

自分が乗っている

船の大きさと 船の速度だけ

・・・・・・・・

もはや思いだす人などいない

かつてこの川に

様々な船が浮かんでいたこと

川岸からは鳥の声、笑い声が

聞こえていたことなど

・・・・・・・・

しかし 川は流れ続けている

昔も今も変わりなく

実にゆっくりと

世の中がどう変わろうとも

→ノボ村長の「思い出アルバム」

→ノボ村長の「詩集ノボノボ」

Category: キラっと輝くものやこと, 伝えたいこと, 大切なこと

コメントはこちらへ