まちと生命を守るソフトカー

[ 0 ] 2011年12月8日

New!石巻「ソフトカー」レポート

2011年12月1日と2日、ソフトQカーは石巻市の小学校と幼稚園を訪問しました。「チョロQ」に喜ぶ子どもたち!!ソフトカープロジェクトは、いよいよ住居地区での「人と車の共生」にむけて、新たな街つくり構想へと進みはじめました。

当日の様子を動画でご覧ください

ソフトカー・ダイアリーより「石巻の希望①」 「石巻の希望②」

当日の様子を朝日新聞が記事にしました。

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子供が遊べる街

「チョロQ」を本物の自動車にしたのが「Qカー」、タカラトミーで過去に100台生産しました。それをもとにコンセプトを発展させたのが「ソフトカー」です。ちっちゃな1台のバッテリーカー、しかし私の夢は広がります。

ソフトカーの背景

昨日石巻でソフトカーに乗ってきました。ソフトカーを通じて「脱スピード社会」を提唱する小栗教授ご本人とも親しくお話をしてきました。(『脱スピード社会』は小栗教授の著書でもあります)

この本を読んで初めて知りました。先生のお姉様が交通事故で亡くなられていたということを。3.11の日、石巻で幼稚園バスでお子様を亡くされた方との出会いが、なぜこんなにも先生を揺り動かしたのかということも。
ソフトカー・ダイアリー

「車に依存しすぎた社会」そこから引きおこされる尊い命の喪失、身をもって体験した方の強く深い動機が「ソフトカー」の背景にありました。

「ソフトカー」コンセプトの特長は、「車の排除」ではなく「人と車の安心な共存」ということです。ここから私の夢も広がります。

街全体が子供の庭

私はこのブログで幼少年時代の思い出を何編か書いています。その頃は「三丁目の夕日」の時代で、年の差10歳くらいの子供達が群れをなして、生き生きと街中や自然の中で遊んでいました。

この時代の思い出は、私たちの世代の貴重な財産です。今でもこの時代の経験が感性や考え方のもとになっていることを、最近とくに感じています。

それとともに「三丁目の夕日」の街がもはやなくなってしまったことに対して、何もできなかったという後悔の気持ちがありました。淋しさとともに・・・。

しかし「ソフトカー」が「バック・トゥー・ザ・フューチャー」のデロリアンになれるかも?という期待が出てきたのです。

コンセプトは「街全体が子供の庭」。新しい住宅地からでいいんです。そこでは自家用車は市街地から離れた場所に置くんです。共同駐車場を作って。

その駐車場にはソフトカーがいっぱいあるんです。住民でシェアするんです。

どんなイメージになるかな。次の章で。

ソフトカーが歩く街

朝日がまぶしい!雀の声やら犬の声やら子供達の声やら・・・目覚ましはいらないな、もう。

道路で子供たちがもうはしゃいでいるよ。犬も元気に走り回っている。お母さんたちが玄関先でいっせいに呼んでいる「さ~朝ご飯、学校に遅れちゃうよ~」と。

お父さんはそろそろ出勤、庭にはソフトカー。「いってまいります」ゆっくり2キロで歩くように走るソフトカー。

タイヤまわりにはゴム製のカバーが付いているし、バンパーも周りについていて、そこに子供が立ったりもできる構造だから安心安全!

少し進んだところで、近所のお父さん「オグさん」も出勤の時間。「お~カワさん、私も乗せてって」とソフトカーのドアのへりにちょこんと腰掛ける。

街もはずれになってきた。ソフトカーは6キロまでスピードアップ。おっとっと、自転車のほうが速いな。でもこちらはもう3人も乗ってるよ。

やがてスピードは15キロ。そして共同駐車場へ到着。ソフトカーを充電ステーションに入れて、それぞれ自家用車に乗り換える。

時々こんな声も。「ソフトカー」を電車に連結してそのまま動けると自家用車一人一台なんて必要ないんだけどね~」

朝を過ぎると街中は幼児とお母さんの街になる。昼間の世界は次の章。

ソフトカーが人をつなぐ

ソフトカーはお母さんにもとても重宝。幼児が道路に出て行って、時速二キロのソフトカーにぶつかっても、転んで泣くくらい。

買い物かごユニットを付けたソフトカーには足の弱いおばあさんがバーにつかまって一緒に歩いている。世間話をしながら。地域の交流が加速する。

ソフトカーは子供たちが一番大好きだ。大きなペットのように思っている。子供達もいつのまにかあちこちから集まるようになってきた。

新たなビジネスが街に生まれる

仲良しとなったヤンママたちが話し合いを始めた。「遠い保育所に送り迎えは大変だよね。ここに共同保育園あればいいんじゃない!」

いろんな規制はあったが何とかクリアー。ついに「三丁目ゆうやけ保育園」が誕生!

専門保育士さんのもと、近所の元気なおばあさんが応援スタッフとしてお金をもらって勤務している。折り紙遊び、お手玉遊び、野菜の栽培などなど・・・。子供もお年寄りも両方に笑顔がこぼれる。

ヤンママ達も自分たちの都合に合わせた交代制で、食事のお世話などを有給で行っている。「へそくりで今度旅行しない?」とヤンママたちで相談中。

なんか、年齢差数十歳で遊ぶ社会ができてきたようだ!「私たちの頃の社会、顔負けだね」とばあちゃんが枝を切りながら道路で遊ぶ幼児を見守るじいちゃんに話しかける。

やがて街の中に、たい焼き屋さんとか、家庭喫茶店とか、自家製野菜の市場とか、あれこれ地域の中で成り立つマイクロビジネスが生まれていった。

なにせ、そんなに儲けなくていい。自分の家で好きなときに好きなことを好きなようにやればいい。茶飲み話がとても楽しい。

だれでもできる「みんな自営の街」が、期せずして、夫が仕事に出た後のヤンママとお年寄りと幼児だけの街中で日々生まれ続けている。

子供たちはもう!学校帰りが待ち遠しい。ガキ大将が今日の遊びを既に企画中だ。ワクワク!

子供の笑顔がソフトカーの未来だ

小栗教授のブログで見た動画です。こんなに子供達は笑っている。イベントではなく日々の暮らしに子供達の笑顔を増やしていきたいものです。。

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難しいことはないはず。失ったものを取りもどせばいい。

そのためには、街を道路を子供が取りもどすことが近道。そのように私は思います。ソフトカーはそのシンボルです。

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石巻でソフトカーに乗る!

 石巻からさっき帰ってきました。まだまだガレキだらけの石巻は門脇(かどのわき)地区で、希望を感じさせる「ソフトカー」に試乗してきました!提唱者の小栗教授や研究室の皆さんと、充実した一日をご一緒しました。

「頑張れ!チョロQソフトカー」で紹介した、あの豆クルマです。

上記のブログをソフトカー提唱者の小栗教授が見つけてくれて、急遽初めての出会いとなりました。

朝10時、千葉をゆうべ出発した教授や研究室のメンバーと、あの津波の痕跡も痛々しい門脇小学校跡地で合流です。

こちらからは私とクマさん。教授たちと初めて会ったのに、まるで古くからの知り合いのように意気投合しました!

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津波でお子さんを亡くされたお母さんも、その友達のお母さんたちも、このソフトカーを応援してくれています。

お母さんは淡々と語ってくれました。あまりにも悲しみが深いからでしょう。お話の内容は、あまりにつらくてここにはとても書けません・・・

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残された幼い娘さんたちが、教授を自分のおじいちゃんのように慕って、無邪気にソフトカーで遊ぶ姿にしばし癒されます。

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このソフトカーはこれから私たちが作るべき社会のシンボルです。

それは、人と車(機械)のやわらかい共存。「効率」から「安心」への価値転換。多くの可能性を秘めています。

さて、教授たちとおかあさんたちと一緒に昼食、その後が小栗教授のすさまじきバイタリティーの発揮でした。

私とクマさんはいつのまにか、先生のスタッフに任命されたも同じになり、市役所やら学校やらで、ちょっとしたプレゼンまでおこなうことになりました!え~!

最初は石巻市役所、ここで復興担当の職員の方と共同復興プロジェクトを行っているIBMの方に、説明やコンパクトシティでの実験提案です。私もその意義について少し演説することになってしまいました・・・

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次には門脇小学校(門脇中学校仮校舎)の校長先生と面談です。ここで12月1日に生徒たちへの特別授業としてソフトカー実演が決まりました。

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そのあと、商工会議所へ一緒に行こう、と誘われましたが、クマさんの予定が入ってて、ここでお別れでした。来月の再会を約束して。

さて、大事なことを書いておきたいと思います。石巻でこのソフトカーを支えている方々は、被災したヤングママたちです。

安全で楽しい車社会というものの実現を、自らの義務のように感じて支援してくれているのです。たぶん追悼の気持ちがあるのだと思います。

それと、あの忌まわしいガレキの中を走るかわいいソフトカーに、子供たちがこぼれるような笑顔で、弾むように走っていく姿を見て「希望」を感じたからではないでしょうか。

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でも、今日ご一緒したおかあさんたちは、そんなことは口にしませんでした。とても謙虚で心が深い方々なのです。

帰りの車中、私たち二人は泣きました。津波に飲み込まれた幼稚園バスの惨状について、淡々と話された内容をもう一度思い出して。

私たちも、このソフトカーについてあれこれ考えたり、企画を進めていきたいなと思っています。ご縁が出来た皆さんとともに。


頑張れ!チョロQ「ソフトカー」

被災地石巻に「チョロQ」のような面白い車登場です!その名は「ソフトカー」。この車、単なる一人乗り電気自動車ではないんです。車中心社会の現状を大きく変えるコンセプトと、それを実現するユニークなしくみがある「未来の車」なのです。

まず、朝日新聞の記事からご覧ください。
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このソフトカーのコンセプトはユニークです。
市街地から車をしめだそう、ではなく「市街地で車と人が安全に共存しよう」という考えなのです。

そのためのしくみが、GPSを利用した場所毎最高速度自動制限機能です。場所に応じて最高時速を2,4,6,15,30,60,100キロの間で任意に設定できるのです。歩行者中心の場所では歩行者の速度しか出せない車、だから「door to door」という車の利便性も損なわずに共存できる。

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小栗教授がコンセプトを話しています。こちらの動画もどうぞ。

そのソフトカーが「どうして石巻で?」

提唱者の小栗幸夫享受のブログ「ソフトカー・ダイアリー」から引用させていただきます。

● ソフトカーであってもあの津波の状況であれば惨事を招いた。しかし、「クルマを使わない」、「いまは移動しない」という判断がありえた

送迎バスの行動に誤りがあったらしいことはわかった。しかし、ソフトカーだったら防げたの?みなさんはそう質問されるかもしれません。

私の答えはこうです。

(回答の前提として、「ソフトカー」は「一人乗りの電気自動車」ではないことを説明します。「最高速度の制御と表示の装置を組み込んだ車であれば、どんな車もソフトカーになる」、そこが重要なところです。)

ソフトカーであっても、津波にむかって走らせてしまったら、そして、その中にこどもを乗せていたら、惨事はおこりました。

しかし、幼稚園バスがソフトカーだったら、そして、石巻で使われるすべての車がソフトカーだったら、「移動に車を使うべきが、使うべきでないかをドライバーは判断した。津波の中ではバスを使ってはいけない、と判断した可能性は高い」と私は思います。

いま、石巻では、そして、ほとんどの地方都市や、大都市の郊外では、「外に出ること=車で移動すること」という公式がほとんどの人の頭に組み込まれています。200m先の店でたばこを買うときも車で移動する。こどもは外で遊べす、学校や遊園地にいくときも親に送り迎えしてしてもらう。高齢者は家に閉じこもる。

ソフトカーの速度制御システムは、家の近くの道では自動車速度が歩行者と同じ、あるいは、速くても時速15kmに制御されます。家の近くは格段に安全で、歩いたり自転車で移動したほうがむしろ便利、という状態になります。

近隣では車より歩行や自転車が優位に立つ。このことが、都市交通の革命につながります。ドライバーが「車を使うべきか、使わざるべきか」を考える、このことが決定的に重要です。ソフトカーは日常的に、この判断をドライバーに問いかけます。

「外に出ること=車で移動すること」という頭の中にある公式を打破壊する。このことが、非常時に多くの命を助け、平常時の安全で快適なコミュニティ空間の形成に貢献します。

私は「キタ~!」という感じでとても嬉しい。

私の財産は、小さい頃ガキ大将中心に年齢差10歳くらいの子供達で遊び回ったこと。それがオトナになった私の感性や発想の原点を支えてくれているのです。それが車社会になって壊滅した・・・。

そのすばらしき過去の世界が復活できるかもしれないじゃないですか!このソフトカー、いや、この車の思想が世の中を変革してくれるのでは、と、とても期待してます。

頑張れチョロQ!!

参考
街全体がわが家の庭

—– EXTENDED BODY: —– EXCERPT: —– KEYWORDS: —– COMMENT: AUTHOR: 小栗幸夫 EMAIL: IP: URL: DATE: 10/26/2011 00:07:08 AM ノボ村長様  ソフトカーの紹介、ありがとうございます。私のほうこそ、”「キタ~!」という感じでとても嬉しい”(笑)。またお話しさせてください。メイルをいただけると嬉しいです。 —– COMMENT: AUTHOR: kawasimanobuo EMAIL: IP: URL: http://d.hatena.ne.jp/kawasimanobuo/ DATE: 10/26/2011 08:50:56 AM 小栗先生へ

先生はじめまして、ノボ村長こと川嶋です。
この度は丁寧なメールを頂戴しありがとうございます。

先生のブログなど、連絡もせずに勝手に拝借致しまして
誠に申し訳ございませんでした。

先生のテーマ「ソフトカー」、私、興味津々、期待満々です!
ぜひどこかの町で実用化されれば、きっとみんな気づくと思うんです。
今までの車社会って、なんと非人間的で傲慢で危険な物だったかと。

それは原発と自然エネルギーの関係とそっくりに思うんです。
ソフトカーの思想は、ソフトカーそれ自体はシンボルであり、
私たちの幸せとは果たしてなんだろう?という問いかけから出発した
新たな社会・環境コンセプトであると思うんです。

これからも、ぜひご研究を積極的にお進めいただきたいと、
心から願っております。

また、私の主宰する「みんなの独創村」でも継続して紹介させて
いただきたいと思っておりますので、貴重な情報等ございましたら
お教えいただければ誠に幸いです。

いよいよ寒くなって参りました。小栗先生、研究チームの皆様、
何とぞご自愛ください。 —– ——– AUTHOR: kawasimanobuo

投稿者:ノボ村長 初出:2011/11/02 更新:2011/12/8 エリア:みんなの広場 おもしろ工房

Category: いきいきマイウェイ, おもしろ工房, みんなの広場

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