叱り方はアナザーセルフで
もう一人の自分
「アナザーセルフ」とは、あるコンサルタントの造語です。
そのコンサルタントは元悪役専門の俳優ですが、「叱り方」の専門講師として企業に引っ張りだことのことでした。(悪役商会のどなただったか忘れてしまいましたが。。。)
この方のセミナー風景が、かなり以前テレビで放映されました。その中で話されたキーワードです。
アナザーセルフとは「外から見ているもう一人の自分」ということです。
俳優という職業は、役になりきり夢中でやっているように見えますが、実はもう一人の自分が「演じている自分」を見ているという覚めた意識を持って演じているのだそうです。
叱る基本はこの役者の目線にあるそうです。
・・・・・・・・
叱り方研修会
それでは、番組の概要を思い出して話していきます。
舞台は、大手システム開発会社
人を育てるためにOJT(仕事をしながら教えていく指導方法)を重視しているが、上司に「うまく叱れない、叱りきれない」という悩みが多く、この講師の実地研修を受けている。
講師の基本的な考えは「アナザーセルフ」
叱っているとき、あなたは役者。もう一人の自分が叱っているあなたを見るようにしなさい。
「叱る」ことは「怒る」ことと違う。「叱る」目的は相手のレベルアップのため。だから、相手が納得しなければ何の意味もない。
そのためには、「良く叱る」ための基本的なテクニックがある。
★相手と同じ目線=見上げる・見下ろす位置関係はだめ
★間をとって相手に考える余裕を与える
★低めの声で話す
この番組に参加していた動物行動学の学者が語る。
「実は、チンパンジーと人間の0歳児に対して叱り方(注意)の実験をしたところ、どちらも声が低くてゆっくり話す方が効果が大きいという結果が出ています」
・・・・・・・・
鳴かせて見せようホトトギス
このような番組が組まれることは、次の社会現象が背景となっています。
★少子化により、兄弟同士の役割関係でルールを体得する機会が減少している
★地域社会のつきあいが希薄になり、叱ってくれるご近所の爺さん婆さんがいなくなった
★学校では、叱ると不登校になったり、果ては自殺するなどの過剰反応が多くなり、教師は叱ることが怖くなっている
番組ではこう結んでいました。
何かをさせたいから叱るはず。叱る前に、何かをさせるにはどうすればいいかを工夫すべき。
秀吉の「鳴かぬなら鳴かせて見せようホトトギス」のやり方が求められる時代のようです。
・・・・・・・・
「自意識」とどう違う?
さて、「アナザーセルフ」に似た言葉として「自意識」があります。
私は両者の違いを(勝手にですが)このように思っています。
「アナザーセルフ」と「自意識」の違い
「自意識」とは「周囲と区別された自分についての意識」
見方を変えると「自分が他人からどう見られているか」を気にする意識でもあります。
自意識が過剰だと、人前に出ることができなくなったり、自分をだめな人間と思いこんだり、反対に、極端な自己顕示に進む場合があります。
「アナザーセルフ」とは外にいるもう一人の自分が自分を見ている、あるいは、外にいる自分が他人と一緒に自分を見ているという意識です。
「アナザーセルフ」という意識は、自分を客観的に把握できる常識や主体性がないと持つことができません。
両方が同じ外からの視点という意識ですが、「自意識」は自分を人の目で変えてしまうという分裂傾向に走りがちなのに比べ、「アナザーセルフ」は自分を客観的なもう一人の自分の目で確かなものにしていこうという主体性の充実につながっていくのではないでしょうか。
「アナザーセルフ」と「自意識(過剰)」は、「似て非なるもの」であることををよくわきまえたいものです。
スポーツ選手や芸能人などのインタビューで、この人は自分自身を客観視しているなと感じることがあります。
これらの人々は「アナザーセルフ」の視点を強く持っている、だから成長できるのだなと思います。
投稿者:ノボ村長
Category: キラっと輝くものやこと, 役に立つこと