エンデと地域通貨(1)

[ 0 ] 2010年12月1日

エンデはファンタジー作家

ミヒャエル・エンデは知らなくても映画になった「ネバーエンディングストーリー(はてしない物語)」を知っている人は多いでしょう。彼はその原作者です。

「モモ」という本も彼の作品ですが、児童図書として読んだことのある人も多いのではないでしょうか。

これらの作品が「経済の本」だと言ったら驚くことと思いますが実際そうなのです。

さてエンデは15年くらい前に他界しましたが、NHKのチーフプロデューサーを中心としたエンデの思想を慕う人々が10年前に「エンデの遺言」という本を出版しました。

実は、私が「みんなの独創村」を始める大きなきっかけになったのもこの本のおかげでした。

これから何回かに分けて、この本の中で私の心に響いた言葉や内容を抜粋してご紹介していきたいと思います。

問題の根源は「お金」にある

彼の思想は「根源的なお金の問い直し」によって「通貨を人間のもとに取り返さなければいけない」ということです 。「私が考えるのは、もう一度、貨幣を実際になされた仕事やものと対応する価値として位置づけるべきだということです。そのためには現在の貨幣システムの何が問題で、何を変えなくてはならないかを皆が真剣に考えなければならないでしょう。人類がこの惑星の上で今後も生存できるかどうかを決める決定的な問いだ、と私は思っています。非良心的な行動が褒美を受け、良心的に仕事をすると経済的に破滅するのが今の経済システムです」 

問題解決を未来から考える

 エンデは、人は目に見える危機には対処できるが、目に見えない危機には無力な存在であると語っています。さらにエンデは、かつては過去の文化や歴史を学ぶことで、現代の問題にどう対処すべきかが了解できたが、私たちがいま向き合っている「お金」の問題では どう考えるべきかの規範が過去には何もない。したがって、未来を想定し、何が起きてくるのかを予言的に直視しなければならない、と語っています。それは人間に与えられたイマジネーションの能力に依らなければならないということでもあります。問題解決を過去からではなく、未来から考える。それがエンデの依って立つファンタジーの力なのです。私たちは「はてしない物語」の虚無や「モモ」の時間泥棒のイマジネーションが訴えていることをもう一度見つめ直すべきではないでしょうか。

次回は「貨幣」の何がおかしいのかについて同本よりご紹介していきたいと思います。

エンデと地域通貨(2)

投稿者:ノボ村長 エリア:独創研究所

Category: 大切みらい研究所, 村の地域通貨

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