地方に移住してコミュ力が上がった話
独創村仲間の大倉しおりさんの「移住記」を紹介します。
地方に移住してコミュ力が上がった話
2016年に東京から宮城県の大崎市古川という所に移住をした私のお話し。
宮城県でいうところの仙台市みたいな大きい街でもないし、山の集落みたいな田舎でもない、郊外のベッドタウンという感じの場所だ。
新幹線の停車駅もあるし大きい会社がありビジホがあり飲み屋も結構ある。
大型スーパーだってあるしここは想像する田舎の生活ではないが、ここから10分も車を走らせれば田園風景が広がる。便利と癒しが共存したところだと思っているしその環境に満足している。
私がこういう場所にきて思うことが、最近強くなって来たのでここでメモ。移住を考えてる人の少しの参考にでもなればなと思う。
今回は主に人との交流について。
東京を離れるというのは、色々な意味で恐い部分がある。
「仕事は?」「遊べる場所ある?」「友達と離れる」
人によって異なると思うが、その中に「東京ほどの刺激がない。最新の情報に触れられない」という懸念もあるはず。
実際わたしが移住して感じたのは、まあ確かに最新の、例えば大きい美術展やイベントを見るにはとりあえず仙台に行かなくてはいけないし、それでも東京の様に数々の美術館や催事場で刺激的な展示を一挙に見に行ける便利さは、ない。「目で見てなんぼ」の情報収集という点においては、自分で足しげく東京に帰るとかネットでもなんでも見て乗り遅れない様に・・・という意識はある。
だが、それ以外においてはこちらでしか味わえない刺激がある。
例えば、地平線に沈んで行く夕陽、田園と空の境界線、海の匂い、鳥の声、虫の声、山から吹きおろす風・・・また、地域のカフェやセンスのいいお店が伝統工芸を若い人の芸術作品としてコラボさせた展示をしていることもあるし、食材や、パン、コーヒーなど何かにこだわり抜いているお店も結構ある。
こういう自然や、人間らしい生活の中に日常的に居ると、本来の生き物としての自分の遺伝子が喜ぶのを感じる。そこから生まれるアイディアもかけがえのないものだ。
そして、人との出会い。
これは最近になって気づいたのだが、東京は外から見ると所謂人種の坩堝であり色々な人に出会えるはず、と思うのだが、実際どうだっただろうか。
まるで大手企業の様に、外側から見ると多勢なのに内側を見ると超細分化された小さい組織の集まりの様にも見える。
これは勿論自分のケースでしかないと思うが、東京で出会い関わって来た人たちはある程度共通点を持っていたり似た雰囲気を持っていたり似た仕事をていたり、似た生活水準である。だから気が合う人も多い。
しかし地方に来るとそうもいかない。
強制的に隣のお家のおじいちゃんおばあちゃんと挨拶し合う環境があるし、農家や商店、学者、先生、経営者、NPOの活動をしている人、旅館で働いてる人、学生、定年されて地元の美化活動に励む人、毎月東京からボランティアに来る人、世界を周って写真を撮る人。色々な方にお会いして来た。
素晴らしい活動をしている人が驚く程たくさんいるし、出会えるのだ。出会おうと思って出会ってるというか、東京に比べたら人が少ないので自分に合う(と思い込んでる)人だけと関わっていくという事の方が難しいのかもしれない。
何より、幅広い年代や業種の人とお話しする事でコミュニケーション力は上がるし多面的に物事を見る力が養われる。
わたし自身元々あがり症で話をするのが実はものすごく苦手だったのだが、それが今は一切ない。人と話す事が楽しくて仕方ない。
地方には刺激がある。
東京にあるものがない、地方にあるものが東京にはない、それだけ。
この小さい日本の中だけでも愛と刺激で溢れているのだ。
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