勇気をもらった絵
東京に生まれ岩手県盛岡市で育った『松本竣介』は、私がとりわけ大好きな画家の一人です。
私の地元宮城県美術館所蔵の『画家の像』を見るたびに、自分自身の30代前半、「暮らし」と「身体」がとても苦しかった時期を思い出します。
そして見るたびに心打たれ、「なにくそ!」と勇気づけられた作品でもあります。
松本竣介「画家の像」 1941
大人の背丈ほどもある大きな作品です。
妻や子の表情は、のしかかる「生活の苦しさ」「将来への不安」を感じさせます。
しかし、何かを決意したように彼方をじっと見据えて立つ竣介。
そのすっくと立った姿が、私に「開き直った勇気」を与えてくれるのでした。
1941年という戦争のさなか、耳が聞こえないハンデを負っている彼は戦地には征けませんでした。
そのため、国(社会)や家族に対する義務感、責任感は、その不安とともに人一倍強かったことでしょう。
仁王立ちする竣介の気持ちは私にはとてもよく理解できます。
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彼は旧制盛岡中学で彫刻家の舟越保武と同級でした。
二人の温かき友情は、竣介が1948年36歳で夭逝するまで続きました。
二人の作品には岩手の空だけが持っている「透明感」のようなものを感じます。
舟越保武が竣介の絶筆に寄せた文章は、何度読んでも涙が流れます。
そして私はいつも42歳で夭逝した親友について思い出すのです。
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