ストーブ売り場で

[ 0 ] 2022年12月22日

『詩集ノボノボ』より

ストーブ売り場で

ボーナスは たぶんまだのはずなのに

郊外の電機屋さんは 人でいっぱい

どういうわけか店内は

ボーナスに関係なさそうな

おっちゃん、おばちゃんが大半だ

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ストーブ売り場が大混雑

かくいう私も 父に頼まれ買いに来た

安いものじゃないと叱られる

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値引き値札が三枚も重なった

特売ストーブコーナーを

いつまでも離れないおばちゃんがいた

私も見たいのに。。。

おばちゃんと私のおしくらごっこ

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おばちゃんが 突然聞いてくる

「どっちがいいんでしょうかね?」

わたしを仲間と思ったらしい

私はあれこれ理由をのべて

「私は左側のにしますね」と話す

おばちゃんもそうするという

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ここからだ 私がう〜んと思ったのは

おばちゃんは三店廻って

戻ってきたそうだ この店に

別な店が千円安かったが

材質が微妙に劣るらしい

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たかだか9980円の特売ストーブなのに

ガソリン代やら探す時間はコスト外

きっと笑うはず ビジネスかぶれの男なら

「なんて損なことしているんだろう」

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ところが ハッと私は気づいた

じゃ失った時間は

いったい どんな大切なことに使えたの?

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自分の手間ひまを惜しまずに

できあがりだけを考える

それって もしかしたら

通じているんじゃないか

昔気質の農民や職人の心意気と

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おばちゃんは

きっと笑うだろう この話をしたら

「考え過ぎじゃない?」

「私はただガメツイだけなんだけどね〜」

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(2012.12.3)

Category: いきいきマイウェイ, おもしろいこと, キラっと輝くものやこと, ほんわかファミリー

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