先人の独走的な独創 その3

[ 5 ] 2011/01/18

今をときめく世界的企業にも試行錯誤の時代がありました。何回かのシリーズで、今や知る人も少ない偉大な先人の数々の独走的独創を私の独断選考により紹介していきたいと思います。

この記事を読んで、先人の恐れを知らぬ果敢な発明のエネルギーに共感するか、もしくは、あの頃、あの人、あの企業でもそういうことがあったのかと、自らをなぐさめるか、それぞれの自由です。私は、これらの試行錯誤や埋もれてしまった発明から、しごとの原点を何か感じ取っていきたいなと思っています。

第三話「東洋医学物理療法自動診断機」

今回は、オムロンかつての立石電機で製作された独創的アナログコンピューター「東洋医学物理療法自動診断機」のお話です。あまりに特殊な機械なのでインターネットを探しても情報はほとんどありません。唯一見つけた写真がこれです。

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<オムロンはベンチャー企業の草分け>

さて、オムロンと聞くと、電子体温計や電子血圧測定器の会社でしょう、と思う人が多いと思います。実はオムロンは世界有数の制御機器メーカーであり、様々なシステムを発明したベンチャー企業の草分けともいえる魅力的な会社なのです。オムロンが発明したものとしては、銀行の現金自動支払機、ATM、駅の無人改札機、自動感応信号機、カード入退室システムなどいっぱいあります。ここ宮城県では仙台市(塩竃市と岩沼市も含む)の交通管制システムや、高速道路の速度規制システムなどもオムロンのシステムです。kansei.jpg

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<大いなる失敗が未来の事業を生んだ>

さて創業者の故立石一真氏は知る人ぞ知るベンチャーの元祖で、その考え方や生き方は、現代の私たちにとっても大変参考になります。ちなみに「大企業病」というのは彼の造語です。その一真翁は、苦楽をともにしてきた最愛の奥様を癌で亡くされます。そのときから 「企業は社会の公器である」 という考えのもとに、人々の健康に役立つ製品をつくらなければいけないという新たな使命感が芽生えたのです。そして、東洋医学と科学技術を結びつけたいという理想のもとに製作された機械がこの「東洋医学物理療法自動診断機」でした。ただし、あまりに特殊で実用に供されることはなかったようです。しかし、この製品の思想から現在のオムロンの健康医療事業が芽生え、現在もっとも知名度のある事業部門として育っていったのです。 omron公式サイト オムロンの歴史「創業者物語」

<プロジェクトXのような高揚感の日々>

実は、私はオムロン(立石電機)のメンテナンス会社で社会人としての第一歩を踏み出しました。そのころ毎年編集される中央研究所の研究・製作レポートを読んで、その斬新さにとてもワクワクしたものです。この機械について書かれた記事のことも鮮烈に覚えています。コンピューター=デジタルの既成観念を打ち破り、オペアンプというアナログ素子で構成されたこの機械は、実に発想が逆転していました。

思えばこの頃は毎日がびっくりするような発明製品のラッシュで、末端の私たちも何かプロジェクトXのような高揚感をもって仕事をしていた気がします。しかし性能は理想に追いつかず、調整や修理にあたる私たちには昼も夜もない大変な仕事でした。でもこの頃の同僚とは戦友のような付き合いが続き、今に至るまで大きな力を貸してもらっています。

ある日、新しい駐車場システムの不具合が我々では対処できなくなってケツをまくったら、開発チームが中央研究所から来て、野外の駐車場にテントを張って何日も寝泊まりしながら調整したことがあります。このときは俺たちの苦労思い知ったか、ざまーみろと溜飲を下げたものです。彼らはもっと大変だったろうに・・・なにせ私も未熟者でしたから。

<今学ぶべきは先達の企業哲学>

オムロン(立石電機)の社憲も私はとても好きでした。問題あるのは承知で、私の会社の経営理念の中でこれに似せた文章を使わせてもらっております。 

オムロン社憲  「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」 

立石一真、松下幸之助、盛田昭夫各氏のように、この時代のベンチャーは企業哲学(人生観)が現代のベンチャーと言われる人とは格段の差があるように思います。その思想レベルの差が日本の現状につながっている気がしてなりません。

立石一真 語録1  「“できない”ではなく、どうすればできるか工夫する」
立石一真 語録2 「改善の余地があるならば、まずやってみる」
立石一真 語録3 「面白い、やれ!」

投稿者;ノボ村長 エリア:キラこと

Category: キラっと輝くものやこと, 伝えたいこと, 大切なこと

Comments (5)

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  1. くま より:

    食い入るように読みました。
    今の自分たちには、何が足りないのか・・・。
    恵まれた時代に生まれたために、基本的な部分が敵わないのかも知れません。
    自分は、やる気だけはありますが、立石氏の心にある「深く強い思い」にはそれなりの根拠があるのでしょう。
    私たちには何ができるのか?
    出来ることから始めていけばいいのだと思いました。
    「まずやってみる」
    元気の出る言葉です。
    この記事に感謝です。

  2. ゴリ より:

    ノボさんが昔、言ってたね。「俺、就職して朝、会社にいったらさ〜、みんな床の上で寝てるんだ!仕事のせいで帰ってねぇんだよなぁ〜。俺、えらい所さ来てしまった、と思ったよぉ〜」・・・と。それって、つまり、オムロンのメンテナンス会社の事だったのでしょうか?

  3. くま より:

    なるほどー。。。
    実は、そうかもしれませんね。
    それっぽい匂いがしますよね。
    コメント楽しみです。

  4. ノボ より:

    床の上で寝ていた一人が私で、それを見て唖然としたのが入ったばっかりの奴です。この頃は3日間一睡もせず(機械が直らなくて・・)、という記録を立てたらすぐに4日間一睡もせず(数分は眠ったかも)という中央研究所の人に破られました。どちらも交通管制センターがらみで、新聞に交通麻痺とかって連日載るのでやむを得なかったんですよね。でも私は未熟者でしたから、この仕事5年しか持ちませんでした・・・。

  5. ノボ より:

    omronにはこんな理念もありました。
    「機械にできることは機械にまかせ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」
    これは「人間の行うべき仕事とは創造である」と宣言していることと同じです。
    みんなの独創村の考え方もこれと同じです。
    現代の問題は、機械にできることは機械にまかせたが、その目的である創造活動が十分なされていない、創造の精神が貧弱である、ということにあるのではないでしょうか。

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