命がけの本作り

[ 0 ] 2012年9月4日

ここまでやるのでしょうか!本作りに命をかける男たちがいました。その一人は、杉浦日向子さんの元ダンナで、『帝都物語』の著者、かつ博物学、妖怪学の権威でもある、あの方です。

本にはいろんな種類があるもので、「本の本」というジャンルもあるんです。

図書館で目についたこんな本『この辞書・事典がおもしろい!』からエピソードをひとつご紹介します。

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銃を持って戦うことだけが命をかけることではありません。ペンを持って書くことにすら命をかける人がいます。

その人の名は「荒俣宏」、その命をかけた著書は『世界大博物図鑑』です。(最近電子化もされたらしいです)

 その悲惨さ、いや素晴らしさにおいて、第一にあげなくてはならないのは、荒俣宏の『世界大博物図鑑』である。

この図鑑は、一七世紀から今世紀初頭にかけての、世界各国で刊行された『博物図譜』を粉本として、それらのなかから特にすぐれたものを選りすぐって編集したものだ。

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なるべくたくさんの情報を入れたい。しかも絵は大きくしたい。こんな矛盾した著者の要請に、編集部は頭を抱えたというが、その結果が、あのひと抱えもある本として結実したのである。

聞くところによれば、荒俣氏はこの本のために、破産の危機に見舞われたという。なにしろ、一冊作るために必要な資料代が自前で3000万円。なのに入ってくる印税は400万円程度。一冊出すごとに2600万円の赤字を出して刊行し続けた代物なのだ。しかも必要経費と認められずに課税されたというから、悲惨の極みである。

『世界大博物図鑑』の編纂中、平凡社に泊まり込んでいて荒俣氏は、すっかり体を毀してしまったというが、これは平凡社のせいではなくて、編集室の片隅で数年間を暮らした当人の責任だと思う。実際、しばらくのあいだ、荒俣氏の住所はマジで「平凡社編集部方」だった。

分厚い図鑑や事典類は、値段も高く、私のような貧書生は「どうにかもっとリーズナブルな値段にならないものか」と、愚痴を言いたくなるが、出しているほうの苦労を知ってからは、カンパのつもりで多少高くとも買おうと決意した次第である。

杉浦日向子さんと結婚したのは、悲運なことにこの頃で、一か月ももたずに別居(というか平凡社泊まり込みで睡眠時間2,3時間だったらしいので)、半年後には離婚というはめに陥ったそうです。。。

ちなみに、この本が選んだ「図鑑ベスト10」はこちらです。
(クリックで拡大できます)
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こちらは、荒俣さんと同じ「生きる妖怪」(失礼。。)である水木しげる先生の「水木しげる伝」より。

「四奇人が集まって妖怪を論じるわけだが、壇上を見ていると、まるで四匹の妖怪が集まって会議をしているようだったネ」

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投稿者:ノボ村長

Category: おもしろいこと, キラっと輝くものやこと

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