「年3万円生活」ホント?
故井上ひさしさんが考えた吉里吉里国のモデル岩手県大槌町は津波で大変な災害に遭ってしまいました・・・。でも「吉里吉里人」で書かれた骨太の独立人、独立国の思想は決して流されたりはしないはず。三陸からはるか遠く、熊本で新たな「新政府」が誕生したそうな。
コンセプトが大胆です。『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』というんですから!まずは記事を読んでみましょう。そして面白いと感じる人が多かったらあっちこっちに姉妹国ができるかも。 これは芸術的生活といえるかもしれませんね。そういう観点からとらえると誰でも理解しやすいし、愉しそうですね!
生きるための「新政府」 朝日新聞8月16日より
原発事故を契機にした迷走が収まらぬ中央政府に愛想を尽かし、九州「西南」で「新政府」を立ち上げたアーティストがいる。避難民を受け入れ、福島県の子供たちにサマースクールを用意。半年以内には格安の“団地”も実現させると、意気軒高だ。
●舞台は日本家屋
熊本市中心部、夏目漱石の旧居近くに「ゼロセンター」はある。200坪の敷地に築90年近くの日本家屋。台所に、若いカップルがいた。「反原発運動に参加している」という団塊世代の女性も上がってくる。
門も扉もふすまも窓も全面開放。川風がよく通り、見知らぬ人も次々に吹き抜けていく。談笑の輪の中心にいるのが坂口恭平さん。『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』などで注目された気鋭の若手建築家だ。
ゼロセンターは、東京在住の坂口さんが放射能汚染に危機感を募らせて郷里の熊本に帰り、自腹で始めた「公共」の場だ。5月10日に新政府樹立を宣言、首相となった。思想家の中沢新一さんを文部科学相に任命するなど「組閣」も進めた。
●被災者受け入れ
新政府とは穏やかでないが、「新政府は、生きる態度のことを指すんです」と初代首相は語る。
福島県などから30人以上の避難者を受け入れた。シンガー・ソングライターの七尾旅人さんを呼んでライブも開いた。7月末から福島県の子供約50人を熊本に招待してサマースクールを開催中。「ライブでは客から1円も取らず、七尾さんにもギャラを払ったが、ネット中継したらカンパが十分来た。サマースクールには自分で150万出すつもりが、寄付が集まった。人のために使おうとすると、カネは回り出す」と話す。
●「年3万円生活」
庭には、「モバイルハウス」が駐車してある。ホームセンターで売っている2万6千円分の材料を自分で組み立て、中にベッドを設置、2畳半ほどの小さな“家屋”にしたもの。屋根にソーラーパネルをとりつけ、電子機器なら動く。
床部分に小さな車輪をつけたのがみそで、建築基準法に照らせば、規制でがんじがらめの「建築物」ではなくなる。半年以内に、デザインの違う家をコンペで募り、「モバイルビレッジ」にする計画がある。
「市民農園を借りてモバイルハウスを置けば、借地代は月400円。『バイトで1日1時間働け、年間3万円で生きていける世界を作ろう』とアジってる」
自給自足が目的ではないが、自家製ビールを造り、塩を作り、イチジクの葉でたばこを作る。「生き延びる方法を提示するのがアート。ぎりぎり冗談の、ぎりぎり本気。みんなが怒った瞬間に何を言うか。芸術家はそこを問われる」と、覚悟を決めている。近く、東京・銀座にある、所有権未登録の土地を国土とし、国連に加盟申請するという。 世間が「怒る瞬間」は、意外に近く、来るのかもしれない。
●行政も注目
先月、都内で坂口さんとトークショーを開いた中沢新一さんは満員の聴衆にこう語った。
「突然坂口君から電話が来て『文科相に任命する』と言われた。謹んでお受けしました。私も60歳。国家や貨幣を本気で変えないとならないと思っている。坂口君の考えは、決してナンセンスではない」
行政も興味津々だ。熊本県の小野泰輔政策調整参与は、朝日新聞の取材に以下のように答えた。
「(2畳半のモバイルハウスという)極端な形で見せているので荒唐無稽に思えるが、数千万円の住宅ローンを35年抱えて生きていく日本の社会モデルは、3・11以降、破綻(はたん)した。県としてどうかかわれるか未定だが、モバイルビレッジ構想は、実際に協力したいという農家の方が複数ある」(近藤康太郎)
【写真説明】
ゼロセンターの入り口。テーブル後ろにある円窓の“家屋”がモバイルハウス
開放的な日本家屋に老若男女がひっきりなしに訪れ、坂口首相(右)と談笑していく
投稿者:ノボ村長 エリア:キラこと 初出:2011.8.17
Category: キラっと輝くものやこと, 大切なこと, 思いがけないこと