技術者が営業マンの会社
2011/1/4 朝日新聞で紹介記事が掲載されました。
http://lets-sp2.com/dokusoumura/kiragoto/kenji_miyazawa/post_13/
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この会社に営業はいない
いくら製造技術が優れていても、営業能力がなくては会社は成り立たないというのが通説です。しかし、この会社には技術者、技能者しかおりません。それなのに宮城県で初めてトヨタに直接部品納入を果たし、業績も大変素晴らしい会社があります。
岩機ダイカスト工業株式会社 http://www.iwakidc.co.jp/aboutus/index.html
この会社はどのようにして注文をとるのでしょうか?私はこの会社の社長さんをお招きして講演会を開催したことがありますので、その独創をご紹介します。
営業の代わりに「提案」をしている
製造業ではネットで発注したい情報を流します。
この会社では「その部品をその仕様でいくらで作ります」とは言いません。
「その部品をこのような仕様にするといくらでできます。」という仕様変更提案をするのだそうです。
どんな提案をしたのか
納入が決まった部品も北陸の大部品メーカーが500トンプレスで製作していたものを150トンの射出成形に置き換えた提案だったそうです。しかもバリ(加工しきれずに残った小さな突起)を抑える作り方が通常なのに、わざとバリを大きく作る加工をして、後から機械で一気にそぎ落とすという逆の発想もしています。これらにより、桁違いのコストダウンをトヨタにもたらしたようです。トヨタが取り引きするのは当たり前です。
目的がわかるから提案できる
自動車メーカーでは部品加工の全てを知って仕様を決めているわけではありません。
単純に、言われたとおりの物を安く作ろうとすれば、価格競争で無理なコストダウンとなるでしょう。
しかし、この部品はいったい何のために使うのか、その目的を果たすために加工側から考えればどうできるか、と考えれば、無理は生じないし、発注者をより満足させることができます。
社長さんのこと
社長さんは、たたき上げの職人から一代でこの会社を築かれました。飾らず、明るく謙虚な方で、講演会にお招きした際も参加者全員に自工場自慢の技術で作ったベルトをプレゼントしていただきました。長年お付き合いのあるコンサルタントの先生がこんな話を私に教えてくれました。「リーマンショックの時、必要がなかったのに多額の借金をしたそうです。それは協力工場に資金を融通するためだったそうです」
推薦者:ノボ村長 エリア:おもしろ工房 初出:2010.12.10 更新:2011.1.7