「農」と「農業」は別物?
「農」と「農業」は別物じゃないでしょうか?
ということで、我流「ノボ辞典」に一ページ追加です。
ノボ辞典より
Agriculture【農業】名
一般的に「農」と「農業」を区別することはない。
しかし、区別すべきだと考える、いや考えた人も少数ながらいたようだ。
明確に区別したとはいえないが、それを考えた一人に「ソロー」がいる。
『森の生活』<湖>より
・・・コケモモやブルーベリーの夕食にあずかり、ついでに数日分のたくわえを摘み取ったりした。こうした実をひとから買って食べたり、市場へ出荷するために育てたりしている人間には、そのほんとうの味はわからない。それがわかる方法はたったひとつしかないのだが、そうするひとはめったにいないようだ。
「農」と「農業」を異なるものとするなら、それぞれどのような特性を持っているのだろうか。・・・・・・・・
(目的)
「農」とは「生きるために食物をつくる」ことであり、
「農業」とは「利益を得るために食物をつくる」ことである。
(消費)
「農」は「自給自足」が基本で、余ったものを市場に出す。
「農業」は「販売」が基本で、余ったものを自家消費する。
(規模)
「農」は小さく、「農業」は大きい。
「農」は安定を望み、「農業」は成長を望む。
「農」は手間暇かけることを喜び、「農業」はより効率的なことを喜ぶ。
「農」は心を耕し、「農業」は土地を耕す。
(形態)
「農」と「農業」は重なり合っているが大きく二つに分類できる
1.「農」>「農業」、これが今までの「農家」である。
2.「農業」>「農」、これがこれからの「農企業」である。
「農家」が限りなく「農企業」に変わることを疑問に思う人はあまりにも少ない。
(方向)
「農」のキーワードは「安全」であり、「農業」のキーワードは「価格」である。
「農」は都市部で「農園」として発達し、「農業」は農村部で「農工場」として発達していくだろう。
都市部ではサラリーマンが「農園」で癒やされ、田舎では農家が「農工場」からサラリーを得ていくことだろう。
やがて「農」はセレブの「価値観」を刺激し、「農業」は庶民の「懐」を刺激していく。
「農」は「つくる喜び」とともに細々と国に残り、「農業」は「低いコスト」を追い求めて国を出て行く。
・・・・・・・・やがて起こるかもしれない世界規模の食糧危機。
生き残る力となるのは、きっと「農」であって「農業」ではないだろう。
その後、「農」と「農業」がぴったり重なり合う時代が来るにちがいない。
そのときに、まだ作物を育てることができる国土であってほしいと願わずにはいられない。
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