世界は四つの同心円
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」(レイモンド・チャンドラー『プレイバック』)は、「会社人でなければ生きていけない。優しくなければ人間である資格がない」と言い換えられるかもしれません。
私たちは、誰もが四つの世界に同時に生きています。
それは「会社人」「社会人」「人間」「生き物」という四つの世界です。
「経済人」とせずに「会社人」としたのは、「自営」は社会人、人間の要素が強く、一緒にはくくれないと思ったからです。
「四つの世界すべてを意識して生きようなんて、そんなことはきれいごとさ!」という声がたくさん聞こえてきます。
食べるために働くことだけで精一杯ということは、自分もそうであったのでよくわかります。
会社の指示に従って働く「会社人」にはそもそも無縁な話だろう、というあきらめも経験上よくわかります。
でも、ある日こんな話を知って私は「なるほど」と納得したのです。
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十数年前でしょうか、吉本興業の入社式で副社長さんだったかがこんな話をされたのです。
「あなたたちの前にすぐ大きな壁ができます。それを決して乗り越えようなどと思わないでください。けがをしますから。しかし、いつまでも壁のまわりをウロウロし続けてください」
この後の言葉は覚えていません。
でも、私はこの言葉がとても心に刺さったのです。
そして、次に続く言葉はこうであっただろう、と自分流に想像しました。
「壁のまわりをウロウロし続けていれば、いつか壁の穴を見つけてそこから向こうに行けるかもしれない。いつか誰かがハシゴをつくって壁を乗り越えられるかもしれない」
時代や世界の大きな流れにあらがえず、だれもが多少なりとも不本意な仕事や人生を送っています。
しかし、何事もいつまでも同じということのほうが実はめずらしいことです。
会社人は使われていた人が使う人になるし、独立して仕事を始める人もいます。社会の潮流が大きく変わることもあります。
心に小さな種火をともし続けていれば、そんな変わり目に、自分が社会人として、人間として、生き物として本当に行いたかったことを仕事に生かせるのでないでしょうか?
「真の勝ち組」とは、それができた人をいうのだと、今私は思えるようになりました。
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このシリーズは脚本:私ノボ村長、絵:同級生ゴリランジェロ氏のコンビで作成しております。
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