気骨ある親たち
私の父は91歳、元気に一人暮らしをしています。
日々衰える記憶力というリソースを、なんとかやりくりしながら静かに一生懸命生きていく姿は、まるで地球に戻る「ハヤブサ」のごとくです。
とはいえ高齢ですから、私たち夫婦やヘルパーさんが毎日ご飯つくりや掃除をサポートしています。
そんな日々、いつも感じるのは私たちの親たちは実に気骨があるな~ということです。
戦争などを体験したせいでしょうか、人生に対する気骨が私たち世代とは比べようもなく骨太く感じられるのです。
(というか、親父と同世代の方々は、私たち世代よりも実際に骨が太くしっかりしているようです)
時おりまぶしく感じます。
私の好きな骨太な画家(故)中川一政も、父親をそんなふうに感じていたようです。
彼が父を偲んだ文章を読むとき、私はとても共感を覚えるのです。
中川一政画文集
「いのち弾ける!」より私は思った。
貧乏なんて生きている間のことだ。
死ねば跡形もない。
その古武士のような顔、鍛錬された骨格の立派さに感動した。
このままいつまでも置いておきたい。
私は火葬場から、その骨壷を抱いて車にのった。
まだ熱い骨壷の上に涙がおちた。
私はこの父を愛しているのだ。
この父から生まれた事を誇りに思うのだ。
もうひとつ載せたくなりました。
これは5年以上前、会社のブログに私が書いたものです。
「親父の背中」
2010年5月14日 18:17 コメント(0)社長をしております川嶋信雄です。
皆様にはいつもお世話になっております。
今日は、今年86歳になる私の親父を紹介します。
毎年5月の連休には父と一緒に金華山へ行くのが恒例です。
今年でもう25年目になります。金華山からの帰り道、
コバルトラインから太平洋を眺める親父の後ろ姿を撮りました。何とも哀愁を感じさせる背中です。
長い人生のあれこれを思い出していたのかもしれません。親父の青春時代は戦争と4年間のシベリア抑留でした。
その後結核で入院したり、4回もガンの手術をしましたが、
感心するのはそのプラス思考です。ガンを告知されても「見つけてもらって本当に良かった、
お袋があの世で守ってくれているおかげだ」と心から言うのです。だから「絶対に治ってみせる」という執念は、
人一倍強いものがありました。おかげで、今でも足腰は丈夫、歯も全部あって
魚は骨ごと食べたりします。しかも元気にほがらかに一人暮らしで頑張ってくれています。
私は、お袋(亡くなって10年)似でありますが、
「プラス思考だけは親父ゆずりだぜ」と言いたいものだなーと
つくづく思います。
(この写真に写っている光景は、3.11の津波にのみ込まれてしまいましたが、現在復興途上にあります)
参考
中川一政「向田さんのこと」
中川一政 剛毅木訥
いのち弾ける!
by NOBO
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