IT企業は地方をめざす
ソフトウェアやネットワークなどのIT産業は現代の最先端産業とみなされれています。
現在は大都会に集中していますが、これからは大きく変わることでしょう。
私が経営している会社はソフトウェアパッケージ開発・販売会社です。
23年前の創業時から、地方の小さな市である宮城県大崎市(旧古川市)に本社を置いています。
いろんな方によく言われました。
「どうしてここなんですか?東京とか、少なくても近くの仙台市とかのほうが便利だし、仕事もとれるんじゃないですか?」
実はあまり深い意味もなく、ここが私の地元なのでそのまま居着いたという感じです。
自宅からあんまり離れて仕事することは考えもしませんでしたしね。
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IT産業には都市部が向いていた時代も確かにあったといえるでしょう。
大企業だけがコンピューターを使い、大メーカーだけが開発していた時代はどうしたってそうなります。
しかし、インターネットがこれほど普及した現代、事情はまったく変わりました。
多くのIT仕事が、規模の大小を問わず、どこでも同じようにできるようになりました。
そして大量の若者がIT産業に流れ込み、産業を支える労働力となりつづけています。
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その結果、都市部のIT産業は3K産業になりかねない時代となったのです。
コンクリートに囲まれたパドックで液晶画面をにらみっぱなしの長時間労働。
食事はといえば、プラスチック容器に入ったコンビニ弁当ばかり。
けっして先端産業といえる環境ではありません。
IT産業以外の方が想像する職場風景は、広くてきれいなオフィスで自由あふれる職場でしょうが、それは一部の企業だけです。
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私は、年々、「わが社は地方にあって良かった」と思うようになってきました。
そんな気持ちから「自然派シェアオフィス」なる企画を実現したいと思うようになったのでした。
これからの仕事は「何を創るか」よりも「どこで創るか」のほうが重要になるという確信からです。
私の仕事がらもありますが、特にIT産業こそが自然豊かな環境の恩恵を受けうるはずだ、と思っているのです。
その具体化のために、「みんなの独創村」というサイトを創設し自分の思いを自分で確認してきました。
つい先日は「りんごのレストラン物語」というブログで、実行の青写真を書いてみました。
いよいよ今年こそリアルの一歩を進めるぞ、と張り切っています。
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そんな私とまったく同じ考えの同業者がおり、『ソトコト』という雑誌でこう述べていました。
全県で全国屈指のITインフラを整備した徳島県にサテライトオフィスをかまえた会社の社長さんの話です。
『ソトコト』2015.1月号より
IT×地方。徳島県・美波町で生まれているワークスタイル
テレビの地上デジタル化をきっかけに県が光ファイバー網を全域に敷設した結果、全国屈指のITインフラを持つに至った徳島県。
その南東部に位置する美波町は人口約7500人の漁師町で、海、山、清流に囲まれた地域だ。
ウミガメの産卵地や四国霊場に23番札所・薬王寺があることでも知られる。
この町に今、新たな働き方のムーブメントが生まれつつある。
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きっかけになったのは、東京の情報セキュリティ・サービス企業である「サイファー・テック」が2012年5月に同町内に開設したサテライトオフィス『美波Lab(ラボ)』だ。
社長である吉田基晴さんは、かつて趣味で稲作にたずさわっていいたが、
農業を通じて、自然環境がIT的クリエイティビティーに及ぼす影響の大きさを実感。
徳島のインフラ環境を知り、自身の出身地でもある美波町に『美波Lab』を設立することにした。
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吉田さんはその際、みずからの暮らしを自然の中で自主的につくり上げていける「半X半IT」をテーマに掲げた。
「X(エックス)」の部分には個人の趣味や家庭が入る。
人材不足に悩んでいたサイファー・テックだったが、以降は応募が急増。
現在、『美波Lab』には「半サーフィン半IT」「半狩猟半IT」「半サイクリング半IT」を両立させる3名のエンジニアが常駐する。
わが意を得たり!の記事でした。
特にIT産業は、仕事が一人一人の暮らしとかけ離れていき、ロボット化しつつあるように思える現代です。
しかし、「どこで創るか」を第一義と考えたとき、IT産業はそれを克服し、仕事と暮らしを重ね合わせた「人間の仕事」を取り戻していけるのです。
個人企業や小規模企業ならなおさらその可能性はは高いことでしょう。
私は文中の「自然環境がIT的クリエイティビティーに及ぼす影響の大きさを実感」というこの文章と出会ったとき、雷が頭に落ちたように感動したのです。
「若者よ、荒野をめざせ!」ならぬ「IT企業よ、地方をめざせ!」の時代にいよいよ入ったのです。
定住が絶対ではありません。
ハイブリッドオフィスやサテライトオフィス、異業種シェアオフィスなど多様なワークスタイルを工夫できるはずです。
そこには、私たちの「独創」の母胎である「自然」と「暮らし」があるのです。
その受け皿を私(たち)は創造していこうと思っています。
ノボ村長
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