超おすすめ!「会計の世界史」
久しぶりにすばらしい本と出会えました!それは「会計の世界史」(田中靖浩著 日本経済新聞出版)です。とにかく読みやすくておもしろいです。
出会いのきっかけはNHKラジオをスマホで聴ける「らじる★らじる」でした。夜中眠れぬことが多い日々、サイト内の「聴き逃し」は私の睡眠薬代わりです。そんなある夜に聴いたのが、NHK第二毎週火曜日放送の「カルチャーラジオ 歴史再発見」でした。「会計と経営を巡る500年の歴史(1)」が放送されていました。
作家で公認会計士でもある田中靖浩さんが、自著をもとに、会計というシステムの生誕、成長、ターニングポイントを、歴史上の有名な出来事や有名な人物のエピソードに織り交ぜて軽快に語ってくれます。まるで講談を聴いているようなおもしろさです!翌朝さっそくAmazonに本を発注しました。
2,3日で読み終えましたが、すばらしい! 会計の本なのに数字はいっさい出てきません。その代わりに、今まで知らなかった歴史上の人物の裏話がいっぱい。しかもそれがすべて「会計」の発展に深く関わっていることを知り、「う~~~む」と唸ること何度も、何度もです。
読んでからのお楽しみですが、ほんとにびっくりするようなエピソードが満載です。レンブラント破産のわけとか、ポールが17歳のとき16歳の彼女を妊娠させ、どうやら(秘密みたいですが)最初の結婚もしたらしいとか、ビートルズの著作権はマイケル・ジャクソンが買ったとか、ケネディーの父上がとんでもない悪党で、逆にその腕を買われて後の会計制度に寄与したとか(ハッカーが国防省に雇われるようなもんですな)・・・、実におもしろいですよ!
なにせ、会計とは縁もゆかりもないような歴史上の人物たち(とくに画家とかミュージシャンが多いですね)が多数登場します。レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ターナー、ゴッホ、ワット、スチーブンソン、モールス、ドレーク、ケネディーの父、カーネギー、ロックフェラー、フォード、テイラー、デュポン、ベンツ、サッチモ、プレスリー、ビートルズ、マイケルジャクソン、ジャズ・・・世界史や芸術に興味を持つ私にとってはたまりません。
本を読み終えましたが、「らじる★らじる」でもすべての回を聴きました。著者の肉声で聴くのは、本を読むのとはまた別な趣があります。それに、本には書かれていなかったことも織り込まれています。著者の話し方がとっても上手なので引き込まれました。
第一回目ははダ・ヴィンチの話でしたが、彼が私生児だったこと、ハッタリが得意だったこと、彼がミラノで師事したルカ・バチョーリという数学者の本に複式簿記の構造が書かれていること、モナ・リザがフランスにあるわけ、など本当に面白い30分でした。その後の回でも様々な著名人と会計との思いがけない結びつきを知ることができ、毎回とても参考になりました。
現代世界の基幹システムとなっている「会計」。変容を重ねたのはその応用であって、複式簿記、損益計算書、貸借対照表がベースとなっていることはなんら変わっていません。そのシンプルさこそ、経済社会の世界共通言語となっているゆえんでしょう。
この本は、「会計」が専門的、特殊なものではなく、社会システムの基幹であること、つまりコンピューターでいうなら「OS」であることを教えてくれます。
ノボ村長
Category: キラっと輝くものやこと, 大切なこと