本は本にあらず?
ゲーテは穏健な思想を持った方ですが、最初に極端な裏返しの話をすることがよくあります。
その後に続く内容をよく理解させるためなのでしょう。
「同時代、同業の人から学ぶ必要はない」と言い切ったのはなぜなのか?と引き込まれてしまいます。
まったく、ゲーテの言う通りだと私は思います。
岩波文庫『ゲーテとの対話』下巻p157
1827年4月1日「生れが同時代、仕事が同業、といった身近な人から学ぶ必要はない。何世紀も普遍の価値、普遍の名声を保ってきた作品を持つ過去の偉大な人物にこそ学ぶことだ。
こんなことをいわなくても、現にすぐれた天分に恵まれた人なら、心の中でその必要を感じるだろうし、逆に偉大な先人と交わりたいという欲求こそ、高度な素質のある証拠なのだ。」
・・・・・・・・
最近ゲーテの本を並行して読み進めていますが、本を読んでいるという気がしなくなってきました。
私がゲーテの時代にいて、ゲーテのお話や行動を遠巻きに聞いたり見たりしているように思えることが多くなってきたのです。
『ゲーテとの対話』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』『詩と真実』(彼の自伝)が、みな関連していて、私の頭の中に立体的な視野を生み出してくれます。
まさに「本は本にあらず、古今東西の人と会うことなり」を実感する昨今です。
Category: キラっと輝くものやこと, 思いがけないこと