ケストナーの心温まる詩

[ 0 ] 2014年3月25日

ブログを書くようになってから、新しい本を読むよりも昔読んで印象深かった本を再読するようになりました。

それを文章にするのでよりいっそう作品の理解が進むことになりました。

さて私の大好きな作家ケストナーのお話です。

小学校の頃かな?図書館に変なタイトルの小説があってずっと頭を離れませんでした。

それは「飛ぶ教室」。これは空飛ぶ絨毯のようにクラス丸ごと空を飛んでいくお話なのかな?と思っていました。

結局読むことはなく題名ばかりが頭に残り続けました。

 

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中学校3年の頃かな、高校1年の頃かな、英語の勉強をきどって「エーミールと探偵たち」という児童文学を英語で読んだんです。

そうしたら面白いのなんのって!今でも英語ながら夢中で(苦労して)読んだときのことを思いだします。

 

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原作者のケストナーはドイツの児童文学者なんですが、先述の「飛ぶ教室」がこのケストナーの作品であることもその頃知りました。

でも読んだのはずっとずっと何十年も後から。

それは「飛ぶ教室」の映画ができたからです。

映画を観てから原作を読みました。先生同士の友情の復活とそれを演出した子どもたちの生き生きとした心温まる小説です。

昔ワクワクしたケストナー、それもあの「エーミールと探偵たち」を無性に読みたくなって取り寄せました。

実はそのとき、もう一冊ケストナーの作品を取り寄せたんです。

それは「人生処方詩集」という本です。

 

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どうしてかって?実は美智子皇后がこの本のファンらしいという記事を見つけたからなんです。

私は、美智子様や吉永小百合さんやオードリーヘップバーンさんは、たぶん私たちの時代のマリア様に違いないと信じているのです。

その美智子様が興味を引かれたのはどんな作品だったのだろうと大いに興味を持ったのです。

美智子様が国際児童図書評議会ニューデリー大会の講演で、この詩集の中の「絶望第一号」にふれられたそうです。

皆さんにも紹介します。

やはりマリア様の選ぶ作品はすばらしい!

エーリヒ・ケストナー

「人生処方詩集」より

「絶望第一号」(またの訳名を「最初の絶望」)

 

小さな男の子がひとり

ほてった手に 一マルク握り

路を走っておりました

もう時刻も遅いので 店の人たちは

壁の時計をこっそりと 横目でにらんでおりました

 

坊やは急いでおりました 走りながらピョンと跳び上り 口の中で言いました

「パン半分 ベーコン上4ポンド」

まるで唄でもうたっているよう そのうち唄がハタと止んだ

握っている手をあけて見たら お金がなくなっておりました

 

坊やは立ちどまり 暗闇に突っ立った

ショーウィンドウの灯が消えた

星のひかりは綺麗だが

お金を捜すには ひかりが足りぬ

 

いつまで立ってるつもりでしょう

こんなにひとりぼっちになったことがない

ガラスの上で 鎧戸が鳴った

街燈が居睡りを始めました

 

坊やはなんども両手をあけて

ゆっくりクルクル廻していたが

それからいよいよ望みも絶えた

もう げんこをあけて見る気もしない

 

お父さんはお腹がすいていた

お母さんはつかれた顔していた

ふたりは坐って待っていた

坊やは裏庭に立っていた ふたりはそれを知らなかった

 

お母さんは心配になってきた

とうとう 捜しに行って 見つけました

坊やは小さな顔を壁にむけ

絨拠掛けの鉄棒に じっともたれておりました

 

お母さんはハッとした いったいどこへ行ってたの?

坊やは大声で泣き出した

坊やの胸の苦しさは お母さんの愛より大きかった

それからふたりはしょんぼりと お家へ入ってゆきまし

 

ノボ村長

Category: キラっと輝くものやこと, ほっこりすること

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