「行って来ます」っていいな。
小学校四年生の女の子が書いたとってもいい詩を読みました。(故)川崎洋さんが『ことばの力』という本の中で紹介していました。
子どもって、なんていい詩を書くのでしょう。
江利子ちゃんは東京の小学校四年生。
お姉ちゃんは中学生。
ひさしぶりにお母さんがいる朝、
「行って来ます」という江利子ちゃんの明るい顔が目に見えるようです。
もしかしたらお父さんがいないのかもしれません。あるいは単身赴任かも。
目がしらがすこし熱くなってきます。
☆
「行って来ます」っていいな 大内江利子
お母さんが出かけるのは
八時五分前
一番早く家を出る
わたしは、お茶わんを洗いながら、
「いってらっしゃい気をつけてね」
と、声をかける
つぎに、ドタドタと
おねえちゃんが出て行く
わたしは、一番後
ランドセルをしょいながら
水道を止めたかな?
ガスの元栓、大じょうぶかな?
と見て回る
わたしを送ってくれるのは、
かぎをしめるカチャンという音だけ
時には、かぎを閉め忘れたかなと
途中からひき返すこともある
今日はお母さんがいる
「行って来ます」
と、わたしが言う
「行ってらっしゃい」
と、お母さん
行って来ますっていい気持ち
なんだかとってもいい気持ち
☆
江利子ちゃん、お姉ちゃんよりもしっかりしていそうですね。
だけど毎朝家を最後に出るのって、とってもさびしかったことでしょう。
お母さんがいる今朝は、どんなにうれしかったことでしょう。
この詩が雑誌『いちごえほん』に掲載されたのは1981年だそうです。
ですから江利子ちゃん、いや江利子さんは今では四十四歳のはずです。
女のお子さんがいらっしゃれば、この頃の江利子ちゃんより年上かもしれませんね。
きっと毎朝、「行って来ます」という元気なあいさつが響いていることでしょう。
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by nobo
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