みんなの独創村
  • みんなの独創村について
  • 村役場
    • 独創村って何?
    • 「みんなの独創村」憲章
    • 独創村の詩
    • 村の運営について
    • 開拓の始まり
    • お問い合わせ
  • キラっと輝くものやこと
    • おもしろいこと
    • ほっこりすること
    • 伝えたいこと
    • 変なこと
    • 大切なこと
    • 工夫したこと
    • 役に立つこと
    • 思いがけないこと
    • 美しいこと
  • 大切みらい研究所
    • やってみたいお店
    • 新しい工業
    • 新しい街づくり
    • 新しい農業
    • 未来の幸せエネルギー
    • 村の地域通貨
    • 独創コレクション
  • いきいきマイウェイ
    • いきいき農園
    • おもしろ工房
    • ふれあい動物園
    • ほんわかファミリー
    • みんなの広場
    • ワクワクお店屋さん通り
  • 独創企画室
  • お問合せ

画廊にいた頃

[ 0 ] 2019年9月24日

20代後半の頃私は仙台の画廊に勤務していました。たった2年間でしたがとてもいい経験をさせてもらいました。

その頃の思い出話を少し。

私は絵を描くことはあまり上手じゃないんですが、一枚の良い絵は百冊の本に値すると感じていました。絵は人の直感に働きかけ、すべてを一瞬にして理解させる力を持つ芸術だとずっと思っていました。その究極は「曼荼羅」ですね。これは全宇宙を顕しているわけですから存在するすべての本以上ということになるでしょうか。

それに感じる器官が他と違います。それは末梢神経ではなく背骨や下半身、背中です。本当にいい絵を見ると背中がゾクゾクとしてきます。生命力あふれる絵に出会うと下半身があったかくなってきます。

私が勤めていた画廊は、私が入ったときは数人の小さな店でしたが本格的な絵画を扱う店でした。東京の有名な交換会で絵を競り、それを客(コレクターが主)に訪問販売する業態でした。ですからギャラリーは飾りで、営業は夜が更けてからが基本でした。だいたい決まるのは夜中ですね。高額ですし、絵に感情移入するまでが長いので。

私はぺーぺーでしたので社長の運転手とか荷物運びとかが多かったですね。毎晩夜中までですよ。週に1回は東京までノンストップで運転手です。売りはじめてからは気負いもあって無理な押し売りみたいになってしまい、その辺は今でもひきずってます。

私がやめてからこの画廊はバブルにのって急成長しました。銀座に店を持ち、大手デパートの横浜店、札幌店への納入を一手に任されました。しかし、その後のバブル崩壊でそのデパートともに倒産してしまいました。

さて思い出話をひとつ。「絵という悪魔に魅入られた人」というテーマがふさわしいかもしれません。私が仕えた社長の修業先は日本橋三越の隣にあり、日本画では当時日本で二番目の売上を誇る高級画廊でした。

といっても画廊という商売の中身は交換会で仕入れ全国のコレクターを回る、ある意味過酷な行商です。仕入れる作品は原則としてたった一人のコレクターにだけ向けるものです。買う人いませんか?というセールスではないのです。画商とコレクターの1対1の勝負なのです。

もし絵が客に入らなかったら次の交換会に出品します。交換会はピンキリで十数カ所あり作品により交換会を選びます。ところが一回の交換会で多いときには百点も出品されるのですが、参加業者には「ハタ師」とよばれる交換会だけの売り買いで利ざやを稼ぐ商人もいて、彼らはあの作品はだれがいつどこで落札した物だということをみんな覚えているのです。ですから再度交換会に出すと買いたたかれます。そこで一気に何百万も損することはざらです。

高級絵画の交換会に参加する資格を得るには保証金やら有力画商5人の連帯保証を必要としたりします。ですから客よりも同業者間の信頼を得るほうが大事な、ある意味封建的な社会なのです。それと画廊というのは売るのが半分、コレクターから探して買うのが半分なんです。ですから売る能力のまえに目が肥えてないとできないんです。大きな金額ですからね。

そんな過酷な仕事を修行として、タトウ(絵を入れる箱)を包んだ風呂敷を日々かかえて何年も仕え、いつか修業先から独立して店を持つわけですが、修業先の社長は絶対で終生「オヤジ」とよばれ親分子分の関係が続きます。

ある日の夜中、社長(私が仕えた人)にオヤジから電話が入りました。「えいじ(社長の名前)か?今会津にいる。いい物を見つけた、今からすぐ一千万現金でもってこい。おれが持ってる一千万でたりないんだ」

社長は「ハイ、わかりました・・・さっそく出発します」といって、常に用意してあるゲンナマを持って夜の高速を飛ばしました。

その絵は須田国太郎という玄人好みの洋画家の傑作「烏(カラス)」の絵でした。(たぶん他にも良い作品があってまとめて買おうとしたのでしょう)

オヤジは須田国太郎にずっと以前から魅入られていたのです。この作家の作品を見つけると金も、極端にいうと人の命さえ関係ないという、彼自身が病的な(?)コレクターでもあったのです。

もっと病状が進むと、画商なのに自分が惚れ込んだ絵は売りたくないという意識が生じてきます。それでは食えなくなるので、目利きの金満コレクターに一時保管場所のようにして販売の形態をとりつつ預けるのです。次にいい作品が入ったらその作品と交換します。

こんな商売をしていたらいつかは破綻します。ここも例外ではありませんでした。大変な負債を抱えて倒産しました。その次の日、本当の話なんですが、そこの番頭をしていた(偶然高校の先輩でした)鈴木さんという方が一夜にして髪が全部抜け落ちてしまったのです。びっくりしました!私が勤めていた画廊でも貸していた絵が流れ5千万がパーになりました。

ところが絵に魅入られた人はそんなことはどうでもいいんですね。しばらくしてからひょっこりヌ~と現れ、「エイジ、いい絵が見つかった。金用意してくれ」と何のてらいもなく言うのです。その場にいた私はゾッとしました。ところがこんな仕打ちをされても社長はムスッとした声で「はいわかりました・・・」と言ったんです。私にはとてもついて行けない・・・

このオヤジが魅入られた須田国太郎の代表作が東京国立近代美術館にあります。ずっと後にその絵を見た私はびっくりしました。その絵の暗い背景にぼんやりと浮かび上がる顔はオヤジそっくりの風貌だったのです。
f:id:kawasimanobuo:20110812114728j:image:w640

初出2011.8.12 nobo

 

Category: キラっと輝くものやこと, ユニーク人生, 思いがけないこと

コメントはこちらへ

返信をキャンセルする。

« 「世界史としての日本史」一気読み
安藤ロイド氏の数奇な人生  »
村役場
お問合せ
キラこと
大切みらい研究所
いきいきマイウェイ
いきいきマイウェイ
ノボ村長
あったかギャラリー
勉強中だよ!レッツくん

カテゴリー

  • いきいきマイウェイ
    • いきいき農園
    • おもしろ工房
    • ふれあい動物園
    • ほんわかファミリー
    • みんなの広場
    • ユニーク人生
    • ワクワクお店屋さん通り
  • キラっと輝くものやこと
    • おもしろいこと
    • ほっこりすること
    • 伝えたいこと
    • 変なこと
    • 大切なこと
    • 工夫したこと
    • 役に立つこと
    • 思いがけないこと
    • 美しいこと
  • 大切みらい研究所
    • やってみたいお店
    • 新しいしごと
    • 新しい世界
    • 新しい工業
    • 新しい生き方
    • 新しい街づくり
    • 新しい農業
    • 未来の幸せエネルギー
    • 村の地域通貨
    • 独創コレクション
  • 好きな記事!
  • 未分類
  • 村役場
  • 独創企画室
    • 工夫したこと
  • 自分アタマで考える

最近の投稿

  • 子供の台風
  • 善い仕事にこそ廻れ利益!
  • 障害は才能
  • 究極のパスワード
  • 喜びがあってこそ人は学ぶ

村役場

独創村って何?

独創村って何?

長老と子供が独創村について、対話しています。

[ 0 ] 2011年9月12日
「みんなの独創村」憲章

「みんなの独創村」憲章

みんなの独創村の憲章を記します。 私たちの目的は 「大切なものを生み出し育む新しきコミュニティーの創造」 私たちが行う仕事は 「大切なものを独創すること」 「独創を加えて大切なものに変えること」 私たちが考える大切なもの […]

[ 0 ] 2010年11月24日
独創村の詩

独創村の詩

人の顔はみなそれぞれだから ひとりひとりに価値がある 人の仕事もみなそれぞれだから ひとつひとつに価値がある 同じ顔とか同じ仕事じゃ 自分が何かわからない 独創村でもういちど とり戻したい大切な価値 ひとりひとりと ひと […]

[ 0 ] 2010年11月24日
村の運営について

村の運営について

2011.01.26 村役場職員が増えました! くまさんです。パソコン関連すべてにとても詳しいですよ。よろしく! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ […]

[ 2 ] 2010年11月24日
開拓の始まり

開拓の始まり

開拓の始まり 2010年11月25日 皆さんこんにちは、村長のノボです。 本名は川嶋信雄といいますが、小さい頃ノブオがなまってノボちゃんといわれていたので、この村ではノボ村長にしました。 さて私はある小さな会社の社長をし […]

[ 0 ] 2010年11月23日
お問い合わせ

お問い合わせ

  みんなの独創村へのご連絡はこちらからお願いします。   メールアドレス  info★dokusoumura.jp ※メールアドレスの★を@に変えて送信して下さい。   村役場では村つくり […]

[ 2 ] 2010年11月2日

最近の投稿

  • 子供の台風
  • 善い仕事にこそ廻れ利益!
  • 障害は才能
  • 究極のパスワード
  • 喜びがあってこそ人は学ぶ
  • 村役場
    • 独創村って何?
    • 「みんなの独創村」憲章
    • 独創村の詩
    • 村の運営について
    • 開拓の始まり
    • お問い合わせ
  • キラっと輝くものやこと
  • 大切みらい研究所
  • いきいきマイウェイ
  • 独創企画室
  • 自分頭で考える
  • トップページへ
Subscribe via RSS Feed
© 2025 みんなの独創村. All rights reserved. .